高齢牛が分娩後低カルシウム血症(低Ca血症)になって困っています。なにか対策はありますか?
高齢牛は生理的に低Ca血症になりやすいので手厚くケアをしましょう!
「低Ca血症とは?」
低Ca血症は血液中のCa濃度が低下した状態をいいます。分娩後の乳牛はCaが乳汁へ出ていく量と比べて、腸管からのCaの吸収量が圧倒的に少ないので、低Ca血症になりやすい状態です。
「高齢牛に多いのはなぜですか?」
腸管からのCaの吸収方法は 、①Caが活性化ビタミンDの作用によって細胞内を通る能動輸送と②Caが腸管の細胞間を通る受動輸送の二通りがあります(図1)。高齢牛は①によるCaの吸収能力が低下していくので、どれだけ気をつけても低Ca血症のリスクが高くなります。
「高齢牛の低Caはどのようにケアすればいいですか?」
DFAⅢは腸管の細胞間をつなぐタイトジャンクション(図1)に作用し②によるCaの吸収を助けることで、牛の血中Ca濃度を増加させます(グラフ1)。また、産次に関係なく分娩時の低Ca血症のリスクを低くすることができます(グラフ2)。よって高齢牛の低Ca血症のケアは,乾乳後期から分娩直後までDFAⅢを与える方法があります。
グラフ1 DFAⅢ給与による分娩後血中Ca濃度の変化/詳細
グラフ2 DFAⅢ給与による産次別分娩後血中Ca濃度の比較/詳細