子牛の健やかな成長に欠かせないIgAと「スタート18」

前回「IgGだけじゃない!? 免疫グロブリンについて」で、IgAについて紹介しました。IgAは、粘膜で病原体から体を守る門番の役割があり、ヒトと同じように子牛にとってもIgAが高い状態にすることで感染症予防に役立つといえます。

では、IgAはどのようにしたら増やすことができるのでしょうか。

病原体が体内に侵入しようとすると、これに対抗しようとしてIgAがたくさん生産されますが、子牛を病原体に晒される環境に置くことは感染症のリスクを高めることに繋がります。

最近は、病原体の感染がなくても、腸の常在菌の刺激を受けて常にIgAが産生され、IgAが腸内細菌叢のバランスを維持するのに役立っていること[1]や、酢酸などの短鎖脂肪酸がIgA産生細胞を増やすこと[2]がわかっています。

これらのことから、ヒトにおいても栄養の面からIgAを高い状態に維持する研究が進められています。

図1は、全身の粘膜をもつ組織とIgAの関係を略図化したものです[3]。IgAを産生する免疫細胞は、血液に乗って全身を巡って各所でIgAを作る性質があります[4]。つまり、ある場所の粘膜でIgAが増えると、離れた場所の粘膜においてもIgAの分泌が高まることから、腸においてIgAを増やすことは全身の免疫を高めることにもつながります。

ここで、当社独自のオリゴ糖であるDFAⅢを配合した子牛用配合飼料「スタート18」を哺乳期間にわたって給与し、IgA産生量を間接的に評価した結果を図2に示します。コウシのミカタと組み合わせた例ではありますが、21日齢時点でのIgA量が底上げされることが分かりました。

また、表は代用乳にDFAⅢを混合して給与した時の健康状態を評価したものです。この試験ではIgA産生量は調査されていないため直接的な関係は明らかではありませんが、給与期間中と離乳後の下痢の発症が抑えられることが分かりました。

「スタート18」は、子牛の体内でのIgAの産生をサポートし、ラフィノースというオリゴ糖をW配合することにより整腸効果も期待できます。

哺乳期前半の子牛の状態がいまいちパッとしない、病気に罹りやすいなどのお悩みがある方は、この機会に導入をご検討されてはいかがでしょうか。

具体的な給与方法については製品ページをご覧ください。

 

引用文献

[1]理研研究所

https://www.riken.jp/press/2014/20140711_1/

[2]国立研究開発法人 日本医療開発機構

https://www.amed.go.jp/news/release_20210715-02.html

[3]株式会社緑書房 新しい子牛の科学

https://www.midorishobo.co.jp/SHOP/4166.html

[4]東京大学医科学研究所

https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00121.html