メタン抑制技術について ~ビート根部の発酵~

「牛のげっぷが地球温暖化を加速する―」という言葉を近年耳にするようになりました。ウシや羊などに代表される反芻動物は、消化管の中に微生物を飼って草の消化を行いエネルギーを得ています。草の繊維質を分解する過程で生じる副生物のメタンは温室効果ガスのひとつで、畜産業は地球温暖化の大きな原因であるとされています。このような背景から、近年、牛の反芻によるメタン発生を抑制する研究が盛んになっています。

 

当社が扱うビートパルプは、反芻によるガス生産にどう影響しているのでしょうか?ビート根部(搾汁前)を牛に給与してガス生産を調査した事例を紹介します。

 

「人工培養法でビート根部を発酵させるとガス量は増加する(Flemingら、Livestock science 2020)」

ペレニアルライグラスと白クローバの混播乾草に、凍結乾燥した飼料用ビートの根部(BF)の割合を変えて混合し(0,15,35,50%/DM)、人工培養法でガス量を調べました。

結果からは(図1,表1)、BFの混合割合に比例してガス生産量、プロピオン酸および酪酸濃度が増加していることが分かります。一方でメタンのガス生産量に対する割合は低下しています。つまりBFを添加することで、メタンの発生に対して得られるエネルギーが多くなりました。論文ではBFに含まれるスクロース(糖分)が発酵に影響していると考察されているので、この結果がそのままビートパルプに当てはまりません。しかし、スクロースにメタン発生を抑制する効果があるかもしれません。