活性イースト菌の牛のルーメン内微生物に対する効果は?

「ルーメン内微生物培養液中で嫌気性菌とセルロース分解菌を増加させます」

弊社では、製糖の際に作られる糖蜜を利用して活性イースト菌を培養しています。一般的にはパン作りに利用されている活性イースト菌ですが、牛に対しても様々な給与効果があります。

飼料に含まれる活性イースト菌は通常胞子の状態で存在していますが、牛に給与するとルーメン内で出芽し、嫌気性菌やセルロース分解菌を増加させます。表1はルーメン内微生物の培養液にイースト菌を添加しなかった(無添加)培地と添加した培地の嫌気性菌およびセルロース分解菌数を示したものです。イースト菌を添加することで、嫌気性菌とセルロース分解菌の数がともに増えることがわかります。

最新の研究では、低質粗飼料で管理されている肉用育成牛に活性イースト菌を給与したところ、粗飼料のNDF消化率が向上したことが報告されています(Perraら,2021)。

活性イースト菌の牛のルーメン内微生物に対する効果は?

活性イースト菌の牛のルーメンpHに対する効果は?

「ルーメン環境を改善し、潜在性ルーメンアシドーシスを予防します」

牛に活性イースト菌を給餌するとルーメン内で乳酸利用菌の活性を高めることから、ルーメン環境を改善し、潜在性ルーメンアシドーシス(ルーメンpHが5.6~5.8以下になり採食量低下をもたらす)の予防につながるといわれています。

図1は活性イースト菌を21日給与した群(イースト群)と給与しなかった群(対照群)のルーメンpHが5.6以下になった1日当たりの時間(分)を測定したものです。イースト群では対照群と比べて潜在性ルーメンアシドーシスになる時間が有意に低くなりました。

活性イースト菌の牛のルーメンpHに対する効果は?

活性イースト菌の牛の高温・寒冷ストレスに対する効果は?

「ストレスを緩和し、乳量の増加が期待できます」

近年、全国的に暑さが厳しい日が増えてきており、高温ストレスは乳牛の生産性や健康に影響を及ぼします。牛が高温ストレスを受ける前に、3週間活性イースト菌を19g/日給与する事で、ストレス指標である血中コルチゾールが減り、乳中の体細胞数も低下しました(図2,3)。さらに乳量の増加も報告されています(Nasiriら,2019、 Perldomoら,2020)。

また、冬季間における活性イーストの給与においても乳量の増加や乳成分の改善が報告されています(Imrichら,2021)。

活性イースト菌の牛の高温・寒冷ストレスに対する効果は?