ベタインの牛に対する効能は?

「肝臓にたまった中性脂肪の排出を助けるので、脂肪肝対策に効果的です」

牛はエネルギーが不足すると、体脂肪を分解することで、エネルギー源を得ようとします。体脂肪からは遊離脂肪酸(NEFA)が放出され、NEFAは肝臓に取り込まれ、中性脂肪に形を変えて蓄えられます。肝臓に蓄えられた中性脂肪はリポ蛋白という形で排出され、体の組織でエネルギー源として利用されます(図1)。

しかし牛がさらにエネルギー源を必要とする時に、より多くのNEFAが肝臓に取り込まれると、牛は肝臓からリポ蛋白を排出しづらい動物であるため、肝臓に中性脂肪が蓄積し肝臓の働きが阻害され、脂肪肝になってしまいます。

ベタインはエネルギー源として利用されるリポ蛋白の合成を促進し、肝臓から中性脂肪の排出を助けるので、脂肪肝対策に効果的です。

ベタインの牛に対する効能は?

ベタインとコリンの違いは何ですか?

「ベタインはルーメンで分解されにくいので、肝臓から脂肪の排出を効率的に行います」

ベタインとコリンは蛋白質(アミノ酸)が成分であり,構造がとても似ていて,肝臓においてリポ蛋白の合成を促進させることができます。牛はベタインとコリンを体内で合成することができず,飼料から摂取しなければなりません。

ベタインとコリンは牛に飼料として与える際,コリンはルーメンでアンモニアに分解されやすい性質を持つことから,ルーメンをバイパスする処理が必要になります。一方,ベタインはルーメンで分解されにくいので,効率的に肝臓へ届き,リポ蛋白の合成を促進させることができます。

ベタインとコリンの違いは何ですか?

暑熱ストレス下におけるベタインの給与効果は?

「エネルギー代謝効率を改善し、乾物摂取量、乳量、繁殖性を向上させます」

ベタインは肝臓の脂肪代謝を促進しエネルギー代謝を改善する効果に加えて、浸透圧調整機能により様々なストレス状況下で脱水から細胞を保護するといわれています。

実際に暑熱ストレス下の乳牛にベタインを給与した試験では、乾物摂取量および乳量の増加、体細胞数の減少が認められています(表1)。周産期における試験では、エネルギー代謝の指標であるNEFA、およびストレスの指標であるコルチゾルの血漿中濃度が、ベタインの給与によって低下しました(図3・4)。また暑熱ストレスを軽減する事で、夏期に発生しやすい卵胞嚢腫を減少させる効果が報告されています。

暑熱ストレス下におけるベタインの給与効果は?